はじめに
こんにちは、NEGIです。
今日まで30日にわたって続いてきたランダム新歓ブログリレーですが、とうとう今日が最終日です。これまで見てくださった方、ありがとうございます。
さてこの記事では、最近私がハマっているフォトリアリズムについての話をしようと思います。
1.フォトリアリズムとは
まず、Wikipediaから引用してフォトリアリズムの説明を簡単にしておきます。
スーパーリアリズム(英:Super-Realism)は、写真を用いて対象を克明に描写する美術の潮流である。ハイパーリアリズム、フォトリアリズム、ニューリアリズム、シャープ・フォーカスなどともいう[1]。
また、英語版の記事にはこのように書かれています。
The evolution of technology has brought forth photorealistic paintings that exceed what was thought possible with paintings; these newer paintings by the photorealists are sometimes referred to as "Hyperrealism."[6] With new technology in cameras and digital equipment, artists are able to be far more precision-oriented and can produce imagery using a wider range of media.
正直、これらの説明は絵具以外を使った作品を想定していないかもしれないですが、どのような手法を使っても結果的にやっていることはさほど変わりません。 要するに、画材やらCGやらを使って写真みたいな作品を作ろうということですね。
2.Blenderによるフォトリアリズム
さて、このフォトリアリズムを私はBlenderというモデリングソフトを使ってやっています。やっていますとか言ってますが、ちょっとモデリングかじってただけでほぼ初心者です。
Blenderは無料かつ非常に高機能なモデリングソフトです。普通にモデリングやりたい時はこのソフト使っておけば間違いないです。 ちなみにこの間、Blenderで大規模なアップデートがあったのですが、それによりUIや操作方法が一部変更になったため、ネットの記事の6割くらいは当てになりません!が、触っていれば何とかなります。
このBlenderでは、モデリング以外にもノードシェーダー等を使っていい感じにレンダリングしてあげることで、フォトリアリズム的なことができます。この記事では、僕が実際に製作した作品を使ってざっくりと説明していきます。
3.最初に知っておきたい知識
詳しく知りたい方はこの動画を見ましょう。というか僕自身がこれを観てから話しているので、この人以上の知識・情報を提供することはできません。以上でこの記事は終わりです。ありがとうございました。
さて、Blenderで(あるいはおそらくほかのCG分野においても)フォトリアリスティックな作品を作るためには以下の要素が必要です。
- モデリング
- マテリアル
- ライティング
- ポストプロセッシング
モデリングはその名の通り、その作品内のものを作ろうねということです。港に泊まっている船の風景を作りたいのに船を作らなかったり桟橋を用意しなかったらどうしようもないですよね。そういうことです。
マテリアルは、それぞれの物体表面がどうなっているかについての情報です。金属であったり、肌であったり、あるいは透明なガラスであったりです。ちょっと詳しい人はテクスチャとか聞いたことありますか?あれも、これの一部分です。
ライティングは光の当たり方です。ここ、結構軽視されがちですが意外に重要なポイントです。室内の明かりと太陽光は強さも角度も全然違いますし、部屋の明かりの明るさ・色によってその場の雰囲気は大きく変わります。極端な話、明るいお化け屋敷ってどうですか?
最後がポストプロセッシングです。ちょっとなじみがないかと思いますが、上の3要素ができたうえでさらに写真・録画映像っぽく見せるための後処理です。例えば、カメラで写真を撮るときはピントによって背景がぼけたりしますよね。あるいは移動物体を撮影するときはその部分がブレます。他にも太陽や強い光を見たときその部分が白く飛ぶハレーションやレンズの歪みなんかもありますね。詳しくは写真が詳しい方に聞いてください。
さて、先ほどの動画の受け売りですが、これらのバランスは家にたとえられます。
(https://www.youtube.com/watch?v=R1-Ef54uTeUより引用)
モデリングは家の基礎、その上にマテリアルとライティングが乗り、最後の屋根がポストプロセッシングというわけですね。もちろんどの要素も重要ですが、マテリアルとライティングが十分でないと写真のようには描画できない、重要な部分なわけです。
ここまで説明したところで、実際に作品を使いながら説明していきます。
4.作ったもの
今回僕が作ったものはこれです。
これには元画像があります。上が作品、下が写真です。
どうでしょうか、結構写真っぽく見えていたらうれしいです。
では、作業に必要なことを順に話していきます。
5.製作手順
1.下絵を用意する
絶対に必要です。現実世界にある、あるいはなんらかのものを模倣してリアルに作る以上、模倣先の写真等がなければどうしようもありません。自分の作りたいものの写真を用意しましょう。
今回僕は大阪環状線玉造駅の改札を撮ってきました、例の写真です。全然関係ありませんが、最近駅のリニューアルが多いですよね。昔ながらの雰囲気は失われますが、キレイになるので良いことだと思っています。ここを題材にした理由は、玉造駅のこのカットが非常に典型的な駅改札であったためでもありますが、詳しくは最後に書きます。
この写真を使ってモデリングしていきます。Blenderを開きましょう。こんな画面です。
2.カメラ位置を合わせる
とてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとても重要です。非常に重要です。
下絵に使われたカメラと位置・角度・焦点などが同じになるように調整します。これがズレると後の作業で物の大きさ・パースなどがどんどん狂ってきて取り返しのつかないことになります。非常に慎重にカメラ位置を合わせていきましょう。人力でやることは非常に困難なのでこれを紹介します。どれだけ時間をかけてもいいと思うので、満足いくまで調整しましょう。するとこんな感じになります。
3.モデリングする
モデリングします。メインとなる被写体が存在するときは、まずはそれだけ別に作っておいてもいいでしょう。作るときは前・横・上からの写真があると非常に作りやすいです。あと、角はできるだけ丸めたほうがいいです。現実世界には非常に鋭利な角はあまり存在しないので。
今回メインとなる改札機はこんな感じ。この後背景部分を作りますが、カメラ位置を合わせたことにより位置が分かり作成が楽になります。もし位置が狂ってくるようなら、残念ですがカメラ位置調整からやり直しましょう……。 あとは微妙に調整して
こうなります。
4.マテリアルを設定する
Blenderのノードシェーダーという機能を使います。色・テクスチャなどの各要素を繋ぐことでそれぞれの材質を表現します。
ある程度我流なのであっているかはわかりませんが、このようにしてつないでいきます。ここで気を付けることは、汚しをうまく入れていきましょうということです。床も壁も、シミや割れである程度汚いです。手すりは指紋で汚れます。汚れを表現できるとリアル感が高まるかと思います。僕も詳しくは知りませんが、汚しの技術はプラモデルのウェザリング分野が一番成熟していると思うのでそのあたりの記事を読むことをおすすめします。
また、デカールの類も作っていきます。ほとんどは自作したのですが、時間と作業の都合上一部のアイコンなどはお借りしました。許してください。
関係ないですが、こういう案内用図記号ってJIS規格で共通なんですね。知りませんでした。
すべて設定し終わるとこうなります。
5.ライティング
家の2階部分、ライティングです。あらかじめ実際のライトの位置を控えておくなり影の位置から想像するなりで配置しましょう。
光の方向、色、強さを調整していきます。また、ここまで来た時点で下絵と比較し、細かい形状や各材質の反射に調整が必要ならしておきましょう。
こうなります。だいぶ元画像と似てきましたね。
6.ポストプロセッシング
あとはカメラ側の設定をするだけです。アンビエントオクルージョンや被写界深度、モーションブラーを必要に応じて調整しましょう。今回は元画像に動きがあまりなかったのでそこまでここで設定はいじっていません。
完成です。
6.今回の作品の良い点
先に今回の作品を簡単に振り返っておきます。
- ある程度写真に似せられた
- ノードシェーダーなどで学ぶことが多かった
- Blender2.8の使い方にようやく慣れてきた(これが一番うれしい)
7.課題
- サイズがデカすぎる
†486179ポリゴン†- ポリゴンが多いことはいいことではないです。限られたポリゴン数でいかにクオリティを高めていくかが重要なのですが、今回は時間の都合上この要素を途中から無視したので膨れ上がりました。
- 細かい部分が異なる。
- 省略した部分、どうしても表現できない部分、細かなズレは結構あります。今後勉強しながら気を付けていきたいです。
- カメラの位置調整で一度やらかした
- 今までの説明からどうなったか想像つくかと思います。気を付けよう!
8.なぜこの写真を選んだのか
正直、どうしてこんな地味な題材を選んだのか気になる人も多いかと思います。これに対して、僕が時々考えている「日常を残す」という話をします。
今の社会ではモノがあふれかえっています。朝起きてから夜寝るまでに接するモノの量は膨大で、そのひとつひとつに思いをはせる時間は正直ありません。しかし、それらは本当にいつまでもあるものでしょうか。いつでも見れると思っているだけで、ある日急に形が変わったりしないでしょうか。特にここ数か月は「日常生活」というものが大きく変化しており、僕としてはその当たり前が揺らいでいるように思うのですが、どうでしょう。
ここ数年で、大阪の中心である梅田も様変わりしました。様々な建物はリニューアルされ、身の回りの製品は新しくなり、またそれらもいずれ更新されます。目立つもの、派手なモノには皆がこぞってスマホを構えたがりますが、僕はそれ以外に、身の回りの「背景となりがちなモノ」も案外記録に残しておいたほうがいい、残しておきたいと思います。
今回の作品もそれの一環です。本当のことを言うとそこまで高尚な信念があったわけではありませんが、今まで改札に注意を向けたことってありますか。僕はありませんでした。ですので、「こんな変な作品があってもおもしろいなぁ」と思って作り始めた次第です。
つまり何が言いたいかというと、いろんなものに目を向けてみましょうということです。普段生活しているだけでは風景の一部となっているものも、何かしらの意図が込められていたりするはずです。多分そこから得られる知識の多くはあまり役に立たない雑学だと思いますが、そういうものを知ることも楽しいですよ。
9.まとめ
みんなもフォトリアリズムやろう!