新歓ブログリレー2022
【29日目】妹学入門
公開日:
2022/04/20
【29日目】妹学入門

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この文章は主観が多分に含まれています。話半分で聞き流してください。

はじめに

中3夏。周りの人間がせっせと受験勉強に励む中、私はまとめサイトを開いていた。漁っていたのは妹系の物語が記されたスレ。いつから妹という存在に惹かれたかといえば、恐らくこの時期になるだろう。「お兄ちゃん」という蠱惑的な響き。兄に向けられる純粋な尊敬。いつしか私は、妹の虜になっていた。手を伸ばしても届かない夢幻の境地にあるそれは、私の妄想を掻き立てた。
 時は過ぎ、私は今や大学生。妹への関心は衰えるどころかますます勢いを増して、今や世界の法則を揺るがさんばかりに燃え盛っている。その熱を動力とし、この記事を書いていこうと思う。

辞書では

妹、とは日常語のひとつであるが、ここで辞書を引いて意味を調べてみる。

いも‐うと【妹】〘名〙 (「いもひと(妹)」の変化した語)
① 男性の側から、姉妹を呼ぶ語。古くは年齢の上下に関らず姉をも呼んだが、のち、年下の女きょうだいだけに限られるようになった。いも。いもと。⇔兄人(しょうと)。
※伊勢物語(10C前)四九「昔、男、いもうとのいとをかしげなりけるを見をりて」
② (兄妹になぞらえて) 男の側から、親しい女性をさしていう。いも。
※枕(10C終)八二「このいもうと、せうとといふことは、上(うへ)までみな知ろしめし、殿上にも、司(つかさ)の名をば言はで、せうととぞつけられたる」
③ 女のきょうだいのうち、年下のほう。⇔姉。〔十巻本和名抄(934頃)〕
④ 妻や夫の妹、弟の妻など。義妹。
語誌平安時代に成立した語。「せうと(しょうと)」と対をなして用いられた。妻や恋人は指さないが、異腹の姉妹を指すところが上代の「いも」と異なる。
(2)平安時代には男性側が使う言葉であり、女性が自分の年下の女きょうだいを指して用いた例は見あたらない。
――精選版 日本語大辞典より

③や④は見慣れた用法である。元は男が女きょうだいを指していう言葉だったとは知らなかった。今回は、今日の創作シーンでよく見られる③、④について考察し、その性質や魅力、そして兄との恋愛について掘り下げていこうと思う。

妹を妹たらしめるもの

兄妹という関係が他の女性との関係と大きく異なっている点は、家族という単位による関係性構築の特殊性と年の差、それに女性側からの呼ばれ方にある。家族、というコミュニティはほとんどの場合生活を共有しており、その構成員は互いに密接な関係を求められる。日常的なかかわりによってペルソナによる誤魔化しの効きにくい関係が構築されていくのである。日常で頼られたときにそれなりの成果を見せれば妹の中には大なり小なり兄を信頼する感情が芽生えるはずだ。逆に上手くいかなければ信用できないダメ兄貴としての烙印を押されてしまうだろう。兄のほうが年上であることから、何かと頼られる場面は多いはず。ここで妹をどう助けるかが、兄としての腕の見せ所となる。また、呼ばれ方は大きな要素だ。「お兄ちゃん」や「にいに」、「兄さん」を始めとして、

info
ライターは妹からの呼ばれ方を想像したところで一瞬天に召されました。
兄妹という関係性に特有の呼び名がよく使われている。私のような一部の好事家にとっては垂涎の的である。以上の特徴をもつ関係こそが、妹を妹たらしめているのだと私は考えている。

妹との関係構築

妹を構成する要素の中でも最も重視すべきポイントは、やはり関係構築である。これに成功するのとしないのとでは天と地ほどの差がある。とはいえ、必ずしも完璧に妹を支えてやっていれば敬愛の念が返ってくる、というわけではないだろう。狡猾な妹をもてばうまく利用されてしまうし、尽くすタイプの妹をもてば逆にちょっとダメなところを見せたほうがいいかもしれない。妹の性格に合わせた関係構築の戦略は必須である。なお、年齢が近い兄妹だと、そこの戦略を立てられるまでの思考力が幼少期の妹と関わる際に身についているのか、という問題があり、その辺は素質の問題になってくる。関係構築の戦略については他の関係についてもいえるかもしれないが、このように幼少期から付き合うことになり得る、というのは少々特殊である。別に妹に好かれなければ死ぬというわけでもないからなんでもいいのでは? ただ「妹の嫌がることだけは絶対にしない」、これだけは――他の関係にも言えることだが――徹底しなければならない。ともすれば二人称が「おい」、三人称が「アレ」のバッドエンド直行になってしまうからだ。(これはギャルゲを意識した発言だが、現実世界の人間に対しては相手の人格の尊重を特に注意して行われるべきであり、それをできない人はいわゆる社不となってしまう。)

なぜ人は妹に惹かれるのか

主語がデカいさて、この項を書くにあたって、妹に「惹かれる」とはどういう状態なのか、はたと考えてみた。以上のような妹属性に特有の性質が、人間のどのような感情を惹起するのか。私は、妹からの信頼関係にその答えのひとつがあるとみている。これはもちろん必ずしも存在するわけではないが、特に創作上の妹にはよく見られるものだ。妹にとって兄は生活の共有や年齢の近さもあり、関係構築に成功すれば兄は妹にとって最も近くの頼れる人間となり得る。したがって、兄妹関係は女性が男性を慕うという、男性の承認欲求を満たす構図を作りやすい。マズローの欲求五段階説において、承認欲求は自己実現欲求に次ぐ2番目に高次な欲求となる。また、人によってはその信頼に応える、尽くすことを歓びとする者もいるかもしれない。この場合、妹を大事にすることは自己実現欲求を満たす要件として足るものである。得難い欲求が満たされるという点で、妹属性は魅力的なのだ。
 また、これは特に血のつながった兄妹のときに顕著であるが、禁忌を犯すことへの背徳感も欠かせない。道徳は人間社会で守るべきとされているにも関わらず明確に定義もされていない(しにくい?)厄介な存在である。その中には、きょうだい間の恋愛や近親相姦を是としない価値観も含まれている。自らの行動に制限を課すものに抗うことは、人間にとって魅力的な果実となることが知られている。カリギュラ効果、という言葉を聞いたことがある人も多いのはないか。血縁によって縛り付けられた「枷」を壊すことに意義を見出すのである。
 前者と後者には明確な違いがある。前者が性愛を必要としない、いわゆるプラトニックな恋愛であるのに対して、後者は性愛に付随するものである。愛は精神的なものと肉体的なものの二元論で語られることが多いが、以上の2つが妹萌えの根幹をなしているのかもしれない。なお、私の座右の銘のひとつとして「妹は妹として愛する」があり、これは前者のみの関係を生涯貫くことを意味する。私にも道徳観ってあったんですね

禁忌について

前項で触れた道徳的規範については特にインセスト・タブーなどと呼ばれている。なぜそんなことが暗黙の了解として成り立っているのだろう。まず考えられるのは近親交配を防ぐため、という可能性である。私はかつて趣味でクワガタやカブトムシを飼育していたが、産卵数や羽化率、成虫のサイズといった観点からクロスブリード(血の入れ替えを行うこと)が好ましいとされていた。また、スペインのハプスブルク家は近親婚の影響で断絶したのではないか、という話もある。末代のカルロス2世は重大な障害をいくつも抱えていたようだ。確かに、哺乳類の中には近親交配を避けるダイナミクスが働くものもいる。それは霊長類でも同様だ。小さい集団で生活する類人猿では、近親との交尾回避のためにどちらかの性が生まれ育った集団から離れ別の集団へと移籍するメイト・アウトが行われるのではないか、と言われている。初期の人類は、家族内での性的な関係を抑制し、前述のメイト・アウトの概念を用いて隣接集団との結びつきを強くした。その結果、他の霊長類では見られない、複数の家族で形成された複雑な社会が作り出された。近親相姦の禁忌は、ヒトが複雑な社会を構成する存在となるために利用されてきた、とも言えるだろう。

抜け道1

ヒトの近親との交尾回避のためのメカニズムはよくウエスターマーク効果という言葉で表される。「幼少の頃からきわめて親密に育った人々の間に、性交に対する生得的な嫌悪が存在する。」というものだ。なお、「幼少の頃からきわめて親密に育った人々の間に」という点に注意が必要である。どうやら霊長類に近親を弁別する能力はないらしく、育った環境でこれを理解し(たものと思って)いるらしい。これは子どもの取り違えの話があることからも裏付けられるだろう。ウエスターマーク効果は雌がそのような関係にある雄からの性的アプローチを拒むことで発生するとされている。しかしながら、どうやらいくらかの確率でこの効果が用をなさない子がいるらしい。確かに近親交配は危険をはらんでいるが、自分たちの遺伝子をより強く遺伝させられるという点で彼らにとっては有利なのである。エロゲに時たまみられる妹ヒロインや幼馴染ヒロインはきっとその一員なのだろう

抜け道2

また、離れ離れになっていた異性の親族が再会した場合には互いの性的魅力に惹かれやすいらしい。一応Genetic Sexual Attractionという呼び方もある。よもやテキトー記事の執筆時に自分で考えたギャルゲヒロインのネタにぶち当たる日が来るとは

最後に

妹属性万歳。この記事を書くための下調べで見つけたんですが、ゾロアスター教では最近親婚をフヴァエトヴァダタといって最も徳のある行為のひとつとされているようです。なのでシスコンの皆さんは来世でゾロアスター教の信者として生まれ変われるように祈りましょうそもそも輪廻転生の概念のない宗教団体に輪廻転生が割り込めるのか?

参考資料

「禁忌について」の項を書くために参考にしました。中百舌鳥図書館の地下書庫に眠っています。ただ、この記事の公開ギリギリに借りてきたので全然読めていないし理解もできていないですが(おい
川田順造編 (2001) 『近親性交とそのタブー ――文化人類学と自然人類学の新たな地平――』 藤原書店.

シスプリはいいぞ

シスター・プリンセスとは、およそ20年前に流行した妹萌えの黎明ともいえる存在です。私はこの作品に救済されました。因みにこの記事のサムネイルになっている可憐ちゃんはこの作品のキャラクターです。自分にとって一番大切なキャラクターなのに記事公開当日になって2時間で描いたなんて言えない本当はもう少し髪にボリュームがあります。2時間クオリティですね。
 シスタープリンセス1期。1人の兄に12人の妹がいるスタイル。やや作画崩壊多めギャグも多め。よくわからなさと12話のエピソードからウニメと揶揄されることも。

シスター・プリンセス(1期)dアニメストア

2期。各話はアニオリのストーリーズパート(1人の兄に12人の妹)と原作準拠のキャラクターズパート(1人の兄に1人の妹)に二分される。こちらは原作の「ケーキに砂糖をぶっかけたような」とも形容される甘い雰囲気が楽しめる。

シスター・プリンセスRePureストーリーズ(2期)dアニメストア
シスター・プリンセスRePureキャラクターズ(2期)dアニメストア

これは15周年記念のBlu-ray BOX。

「シスター・プリンセス」 15th Anniversary Blu-ray BOX

他にも初代PSの恋愛ゲームなどがあります。幸せすぎて軽く死ねます。ではこの辺で......

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ライターは妹の待つ日常へと帰っていきました。

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