作品紹介
海中探検に出発!
公開日:
2020/12/01
海中探検に出発!

はじめに

今回はゲームではなくイラスト制作に挑戦してみました。はじめはゲームを作ろうかなと思っていたのですが思いのほか時間がなかったり構想がうまくまとまらなかったりで諦めました。ちょうどライザのアトリエ2というゲームの発売前のイベントで「ライザのアトリ絵」という、いわゆるイラストコンテストが開催されていたので、最近頑張っているイラストでいこうと決めました。描き終わった感想から言うとマジで大変でした……。まあ、どう考えても計画性がないのが悪いですね。前置きはこのぐらいにして作品の制作過程を紹介していきます。

構想

まずどんな絵を描こうかなーというのを考えます。テーマというかお題が「ライザの夏休み」だったので、海(スイカ割り・水着など)とか夏祭り(花火・浴衣など)とかがいいかなーと思っていたのですが、こういうのはメジャーな題材すぎて、というかトリダモノさん(公式イラストレーターさん)が描いているのもあってあんまり描く気になりませんでした。まあ単に浴衣とか描けねえし露出多いのも逆にムズイ(?)というのもありました。

色々資料をPixivとかPinterestとかをあさってみて、砂浜とかの絵はよく見るけど、水中の絵ってあんまり見ないなーと思ったので水中の絵にしようと決めました。今考えるとなんで描けると思ったのか謎です。どう考えても水中とかむずいやろ……。

というわけで舞台が決まったので次は「誰を」「どんなふうに」描くのかを考えます。ちなみにライザたちの衣装についてですが、親切なことに公式サイトにキャラクターデザインの設定資料があったのでそれを元に描いています。マジでありがたい。個人的にライザとクラウディアの二人は絶対に描きたかったので、この二人を主軸に他のキャラをどうしようか考えました。最初の案はこんな感じで(下の画像)ライザとクラウディアが右側、パトリツィアとタオを左側にして、海底探検の休憩中にサンゴに座りながら談笑している感じにしようかなーと考えていました。

でこれぐらいまで描いてみて「これ別に海の中じゃなくてもよくね? というか夏休み要素薄くね?」となったのでボツにしました。あと複数人の絵描いたことないのにいきなり4人も描くの無理では、と冷静になったのでやめときました。結果的には4人書かなくて正解だったなと思っています。今思うとどう考えても間に合いませんでした。

動きのある絵にしたかったので、「海に飛び込んで今から探検に出発する」みたいな場面を描こうと思い、ライザがクラウディアの手を引いているのをイメージして構図を決めていきました。

で、こんな感じに線を引いて構図を考えました。3分割法というらしく、メインで見せたいものを交点に置いてそれ以外を線上の交点ではないところに置く、みたいな感じで使います。ライザといえばあのやべーふとももなので見切れたりしないようにしつつ、手を引くときの腕の角度とかを意識して配置していきます。上の画像にはなんか人型以外のものが見えると思いますが、これはフィーというマスコットキャラ的な子を描こうとした名残です。時間がなくて描けませんでした(計画性皆無)(ゴミ)。

配置は大体こんな感じにしました。キャラクターの顔が交点に来るように配置しています。

ラフ

次はラフを描きます。線画とか色塗りをこんな感じにしようと決める下書きみたいなものです。線画ラフでしっかり描いておくと線画を書くときの苦労が減るので手を抜かずに描きましょう。色は今回はグレースケール(無彩色のみ)で塗ってます。

ラフができました。クラウディアのグレースケールラフが何故か無かった……なんでや。

線画

ここから線画を描いていきます。今回の線画はベクターレイヤーを使って描いています。ベクターレイヤーは線をベクトルの集合という形で描画するレイヤーです。伝わる情報デザイン取っている人ならわかると思います、Inkscapeみたいにノードを動かせたり線を単純にしたり細さを変えたりできます。線画はしっかり描いておかないと色塗りの際に苦労する(毎回してる)ので慎重に描きます慎重に描いても塗りつぶしをすると大体どこかはガバってることが判明します。かなしい。

というわけで線画ができました。ここまでで多分20時間ぐらいですかね。……時間かけすぎな気もしますが、デジタルでちゃんと絵を描くのはこれで2枚目(夏のREMの表紙が1枚目)なので仕方がない。ちなみに線画は顔とか髪とか服とか装飾品とかでレイヤー分けて描いてます。

色塗り(キャラ)

そして、ついに色塗りに入っていきますまずは下塗りをします。流れとしては、下塗りでベースとなる色を置いて、その上に特殊なレイヤーを使って影をのせたりハイライトをのせたりする感じです。あとで調節できるので色はそんなきっちりしなくていいです。ただしはみ出したりするのは厳禁。塗りつぶしをつかってから細かいところもきっちり塗っていきます。線画と同様にパーツごとに分けておくと幸せになれます

はい。次は焼き込み(リニア)というレイヤーを先ほどの下塗りのレイヤーにクリッピングして作成し**影を塗っていきます。**クリッピングというのは元とのなるレイヤーで色の置かれているところにしか描いたものが反映されないという機能です。つまり下塗りで塗った範囲からははみ出さないということです、これマジで神機能。さらにこの機能により、下塗りをパーツごとに分けておくと自動的に下塗りと同じように分けられるのでとても便利です。この焼き込み(リニア)レイヤーで影を描いていきます

1段階目の影です。ここは大雑把に描いた方がいいです。クラウディアのスカートがなんか細かく書かれてますがこれ多分2段階目の影を表示しちゃってますね。めんどくさいのでこのままでいいや。実際レイヤーをいちいち非表示にするの大変なんです許してください何でもはしません。

2段階目(部分によっては3段階目以上)の影を描きました。ここまで描くと完成形が見えてきますね。ちゃんと完成してきていることが分かって個人的にはここら辺が一番楽しいです

残りはハイライトを入れたり色味を調節したりしていきます。このあたりはオーバーレイレイヤーを使って描きました。また、肌の塗りを見てもらうと分かると思うんですが、水中なので青の照り返し光を入れています。細かいけど結構大事です。

ついにキャラの塗りが完成しましたここまで長かった……。多分この時点で40時間ぐらいかかっていてレイヤーは100枚を超えています。でもレイヤーを分けて色塗りをするとレイヤーが100枚超えるのは割と普通らしいです。 全体を一気に塗っているように紹介していますが、実際にはパーツごとに完成させています。でも多分紹介しているみたいに全体に塗っていく方が良いと思います、全体の色のバランスがわかりやすいので。

あとは背景とか前景を描いたら終わりなのですが、その前に色々紹介をすっ飛ばした目の塗りもダイジェストで紹介しておきます。

目だけ切り抜いて塗りの変化がわかるようにしました。画像の大きさとかががたがたなのは気にしないでください。下塗り→影1→影2→反射光→グラデーション1→グラデーション2→瞳孔→ハイライトの順になってます。目はキャラクターの命なので他の部分より使うレイヤーは多めです。

色塗り(背景と前景)

ここから背景と前景です。まず簡単にグラデーションをつけて、深いほど暗く水面に近いほど明るくします。

大まかに描けたらオーバーレイレイヤーを重ねて斜光を入れます。また、海底のあたりにエアブラシを使って砂のざらざらした感じを加えました。

その後、魚やクラゲ、サンゴ礁や遺跡を描きます。

魚の配置ですが、赤と青の魚はライザとクラウディアの目にあわせて集中線のような感じで配置しています。クラゲは実はアトリエシリーズの過去作に登場した敵を描いています。背景は時間なかったのと描くのが初めてだったこともあってかなり苦労しました。今見返すと魚とか遺跡とかが雑すぎる......。あんまり丁寧に描くのもよくないけど、もうちょっと何とかなった感はある。

とはいえ、これで背景は完成です。あとは前景を描き

ました(ました工法)。背景でも描いた斜光を前景でも描きました。こちらは少し黄色っぽくしています。さらに極小・小・中・大の泡を描きました。極小の泡はエアブラシを使ってキャラにまとわせるように描きました。クラウディアのスカートのあたりの極小泡が結構綺麗に見えてお気に入りです。小・中・大の泡は描き方がわからなさ過ぎたので描き方を調べるのに苦労しました。大きな泡は手前にある想定なので少しぼやかしています。

仕上げ

最後にレイヤーの統合複製をして、一枚にした複製を作り、そこに明るさやらコントラストやらトーンカーブやらの調整をして完成です。やったー

完成した絵はTwitterに上げる形で無事応募できました。制作時間は合計50時間ぐらいです。完成したのがイベント一日目の朝で、このとき前日の朝10時から20時間ぶっ続けで描いてます(アホ)。魔剤も飲まずにこんなに集中力続いたの凄いな。

感想

完走した感想ですが、一度に新しい知識をたくさん入れようとしても扱いきれないと思いました。要するにいろいろ要素を追加しすぎたせいで、どこが上手くいってどこが上手くいっていないのかがわかりにくくなってしまったわけです。背景と前景などの人以外のもの、複数人場合の構図、水中の表現など明らかに一気に挑戦するようなことじゃないのでそこは反省点です。部分部分の完成度がばらばらなせいでごちゃごちゃしているというか、統一感がない感じになってしまっているなーと感じています。DTMでも最初やりたいことを技術もないのに無理に感覚だけで詰め込んで失敗しているので、多分これは自分の癖なんだろうなと思っています。がむしゃらに頑張る=えらい・成長できる、というわけではないですから、気を付けたいところですね。治すのが難しいから癖というんだが。

泡の説明のあたりで資料集めに苦労したといっていますが、全体を通して資料集めには時間がかかっています。ゲーム作りであればジャンプとか移動のコードを検索するようなものです。例がないと無理ゲーなのでできるだけ多く、イメージに近い画像を探しました。

一番の反省点は好きを追求できていないところです自分で見返して「ここ見てほしい!」とか「ここ好き!」っていうポイントが少ないのホントだめ。自分が魅力感じないものに人が魅力を感じるわけがない(極論だけどある意味本質)。まあデジタル絵初心者が何言ってんだって話ですが、今の塗り方は自分の好きな塗り方じゃないなと実感しました。今の塗り方は本を読んだのを真似しただけのものなので、これからは自分が好きな絵柄をいろんな絵を見て描いて研究していきたいですね。とりあえずもう少し製作時間を抑えた絵をたくさん描いていきたいです。

反省点は多いですが、本気で書いたので自分の実力がわかった点は良かったです

余談

あとこれは作品には直接関係ないことなんですが、イラストでゲームに勝つことはかなり難しい、と思いました。クオリティがどうとかイラスト<<ゲームと言っているわけではなく、単純に評価基準の違いです。ゲームって総合芸術なんですよ。だから評価すべき所というか要素が多いんですよね。BGMで聴覚にうったえかけ、グラフィックで目を引き、そのゲーム性・操作性・ユーザーライクさで体験を提供する。さらにこれらは足し算ではなくて掛け算で評価されると思っています。これがただの1枚絵では評価基準量の違いによってゲームを押しのけて評価されるのは難しいと考えた理由です。まあそもそもジャンルの違うもので評価がどうのこうのいうこと自体がアレですが、それは置いておきます

で、仮に勝つとしたらどうしたらいいのかと考えたのですが、わかりやすく評価軸を分けてあげることと見ている時間(見どころ)を増やすことが必要だと思いました。見どころを増やすことなんですが、これは純粋に量を増やすのと作品の質を上げるということです。量を増やすといっても単に画像のサイズ大きくしてクソでかい絵を描くということではなく、複数枚描くということです。要するに連作の形をとるわけです。テーマに沿った絵を4枚ぐらい描いて世界観というかそういうものに引き込めればつよいといおもいます(できるとは言ってない)。作品の質に関してはもう頑張ろうとしか言えないですね。評価軸うんぬんについては、例えば展示スペースに印刷したものを張ったりして雰囲気作りをするとか、付加価値を生み出してあげると良いと思います。評価される場面を増やすということです。ゲームみたいに分かりやすく掛け算の評価をしてもらえるようなものにできたら良いと思います。以前にらんだむちゃんが描かれた、ゲームのダウンロードカードが販売されていましたが、あんな風にグッズ的なものにするのもありだと思います。

創作全般に言えることですが、自分で作ったことがないとか自分で考えたことがないとその分野における凄さがわかりにくいものです。だからこそ、わかりやすく直観的な作品、すなわちよく見なくてもすごいとわかる作品を作るのは大事なんだと思います

おわりに

めっちゃ長くなった。ここまで読んでくれた方ありがとうございます! ランダムで絵を描いてる人そんなにいないのでもっと増えてほしいなーと思います。コロナで部室が気軽に使える状況じゃないので、部室で試しに絵を描いてみるみたいなことができないのも原因な気がします。全く話は変わりますがみんなでスマブラしたい。別に部室じゃなくネットでもいいからしたい。これも全部コロナが悪い。

あらためて新歓イベントお疲れさまでした

(12/1追記) 余談を追加しました。

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